Doctor's Eye
ドクター細野に聞くQ&A
「美肌のために」〜今するべきこと
若々しさを底上げする成分は
どうしたら増やせるのか?
細野孝郎医師
東京銀座 細野漢方診療所・院長
昭和63年北里大学医学部卒。国際抗老化再生医療学会理事。
国際先進医療統合学会理事。日本東洋医学会認定医。
1928年京都で創始した細野診療所の東京診療所・院長を経て、
細野漢方診療所・院長として漢方治療にあたる。
■細野診療所
1928年 京都に漢方の診療所として開院。
1950年 日本で初めて漢方薬の顆粒化に成功。これが元になり、漢方治療の普及に貢献。
岡尾知子さん
鍼灸師、国際薬膳師、国際中医師。美容・健康ライターから東洋医学の世界に。鍼灸師として臨床にあたりながら「ロータス薬膳教室」を主宰。薬膳・セルフケアをテーマに雑誌やWebで幅広く活躍。近著に『はじめての薬膳生活』(法研)。
若く見える人と老けて見える人
いったい何が違うのか
岡尾「年齢を重ねれば重ねるほど、見た目に個人差が出るのはなぜですか?」
細野「加齢と老化は違います。誰でも歳をとりますが、老化は生活習慣などによって個人差が大きくなります。特に重要なのが成長ホルモン(ヒト成長ホルモン)の働きです。ホルモンには色々な種類がありますが、若さと老化に関係があるのが成長ホルモン。加齢と老化を考えるうえで、最も注目すべきでしょう」
いくつになっても
成長ホルモンは大切なのか
岡尾「大人の体に成長ホルモンは、どう役に立っているのでしょうか?」
細野「成長ホルモンは、成人にも重要な役割を果たしています。全身の代謝を助け、細胞の生まれ変わりを補助する働きです。加齢とともに疲れがとれなくなったり、肌のハリがなくなってきたりするのは、細胞レベルで修復・再生が滞っている証拠です。つまり、成長ホルモンは、体の補修・保全の役割を担っているのです」
年とともに成長ホルモンは
どれくらい減るのか
岡尾「若さと健康の維持に、成長ホルモン欠かせないことがわかりましたが、その分泌量は、年齢によってどう変化するのでしょうか?」
細野「成長ホルモンの分泌は、10歳をピークに減少し、50代、60代では10分の1くらいに減ってしまいます。肌のたるみが気になったり、疲れやすくなったりするのは、成長ホルモンの減少が影響しているといえるのです。
若々しさをキープするためには、成長ホルモンの分泌を増やし、細胞レベルで衰えを回復させることが必要です」
成長ホルモンを補えば
若々しさは底上げできるのか
岡尾「減少した成長ホルモンを補うことは、若々しさを保つことと、どんな関係がありますか?」
細野「エイジングケアの分野で、成長ホルモンについてのさまざまな研究結果が報告されています。中でも注目されるのが、若々しさに関する効果です。成長ホルモンを補充すると、肌の弾力やシワの改善、毛髪の質感の向上など、さまざまな効果が得られることが明らかになっています」
成長ホルモンの
主な働き
●肌のキメが細やかに
●潤い、しっとり感がアップ
●白髪、抜け毛の減少
●筋肉を増やし脂肪を減らす
●免疫力をアップする
●睡眠の質を高める
●運動パフォーマンスの向上
●骨密度を増やす
●記憶力を改善する
若さの元を減らさ
ないためには
岡尾「成長ホルモンの減少を食い止めたり、増やしたりすることは、できないのでしょうか?」
細野「日常生活の中で劇的に増やすことはできませんが、減少スピードを遅らせることは可能です。主なポイントとして次の3つが挙げられます」
運動
成長ホルモンは、細胞が修復を必要とする状態になると分泌が促されます。例えば運動をすれば筋肉が疲労し、修復が必要になり、分泌量が増えるのです。
睡眠
体の修復のために成長ホルモンが分泌されるのは睡眠中。肌のゴールデンタイムといわれるほど、質の高い睡眠をしっかりとることは重要です。
栄養補給
成長ホルモンの材料はタンパク質。バランスのよい食事を心がけ、特にタンパク質をしっかり摂ることが重要です。
成長ホルモンはどうすれば
増やせるのか
岡尾「成長ホルモンを効率よく増やすために、すぐできることはなんでしょう?」
細野「タンパク質のもとであるアミノ酸は約500種類ありますが、成長ホルモンを増やすには、アミノ酸の中でも成長ホルモンの分泌を促進するアミノ酸(アルギニン、グルタミン、オルニチン、リジン、プロリン、シトルリン)を組合せてとることが有効です。成長ホルモンの分泌が促されれば、美容的な美しさに加え、全身で元気を実感できる真の若々しさを維持できるでしょう」